今回のテーマについて
こんにちは。ツバめもです。
今回は、以前の記事で閲覧数の多かった「SaaSの死」の記事から、大手SIerに絞って分析をしました。最近の市場を眺めているとSaaS企業だけでなく、大手SIerも株価が大きく下がっています。
大手SIerの既存ビジネスでは開発にかかる人月(人数×時間)を収益にしていました。AIの活用により以前より少ない人・短い期間で開発できるようになったことで、収益が下がると予想されているからだと思います。一方で、大手SIerはAIを使ったサービスを開発に注力していて、少しずつ軌道に乗ってきています。そのため一概にこのまま株価が下落し続けるとは限らないと考えています。
「SaaSの死×大手SIer」ということで、後続に分析していきます。皆さんも関連銘柄検索AIを使って分析してみてください。
AI関連銘柄の分析記事はこちら。
「SaaSの死」について
AIの急速な台頭は、テクノロジー業界で「SaaSの死」という議論を巻き起こしています。これは、AIエージェントによる自律的な処理が従来のGUI(画面)ベースのSaaSを代替し、企業が消費するソフトウェアやITサービスのあり方を根本的に変える可能性を示唆するものです。本質的には、AIが従来の業務プロセスを効率化し、SaaS製品のシート数(ID数)課金モデルに構造的な変化をもたらすという懸念が背景にあります。この変化は、特に従来型SIerのビジネスモデルにも影響を与えるとの見方がありますが、日本の大手SIerは単なるSaaSの導入ベンダーに留まらず、AI技術を活用した新たなソリューション開発や、顧客のDX・モダナイゼーション支援を強化しており、その事業構造から一概に「SaaSの死」の直接的な被害者とは断定しきれない側面も持ち合わせています。むしろ、AIを武器とし、顧客のビジネス変革を支援できるSIerは、新たな成長機会を掴む可能性を秘めています。
この事象に関連する銘柄を分析します。
テーマ特定
影響セグメント
| セグメント | 影響度 | 理由 |
|---|---|---|
| ITサービス・コンサルティング | ポジティブ(中~大) | AI導入支援、システム刷新、AI駆動開発の需要増。ただし、人月ビジネスモデルからの転換が必須。 |
| 既存SaaS・パッケージソフトウェア | ネガティブ(中) | AIエージェントによる代替や、より効率的なAIネイティブソリューションへのシフトによる需要減の可能性。 |
| ハードウェア・インフラ | ポジティブ(小~中) | AI処理に必要な高性能サーバー、データセンターなどの需要増加。 |
影響を受けるメカニズム
AIの急速な発展は、従来のSaaSビジネスモデル、ひいてはSIerの収益構造に構造的な変化をもたらす可能性があります。そのメカニズムは以下の通りです。
まず、AIエージェントの台頭により、これまで人間がSaaSアプリケーション上で行っていた操作の一部、あるいは全体が自動化されることで、企業が契約するSaaSの「シート数(ID数)」が減少する懸念があります。例えば、100人の営業マンが利用していたCRM(顧客関係管理)SaaSのライセンスが、10人のAIエージェントで同等の業務をこなせるようになれば、ライセンス数が90%削減されるといったロジックです。これにより、SaaSベンダーの売上高は直接的に打撃を受ける可能性があります。
この変化はSIerにも影響を及ぼします。従来のSIerは、SaaSの導入支援やカスタマイズ、運用保守といった「人月商売」を収益の柱としてきましたが、AI駆動開発による生産性の劇的な向上は、開発工数の削減を促し、従来の契約モデルを揺るがす可能性があります。ユーザー企業がAIツールを前提とした単価設定や納期を求めるようになることで、AI活用に消極的なSIerは利益を圧迫されるでしょう。
しかし、この流れはSIerにとって必ずしも一方的な悪影響だけではありません。AIの活用が進むにつれて、企業はAI導入に伴うコンサルティング、既存システムのモダナイゼーション(近代化)、新たなAIネイティブソリューションの開発、そして複雑なAIシステムの統合といった高度な技術支援を必要とします。NEC、富士通、日立のような大手SIerは、AI技術の研究開発に積極的に投資し、自社LLM(大規模言語モデル)の開発や、AIを活用したシステム開発プラットフォームの構築を進めています。
したがって、資金の流れは、従来の画一的なSaaSライセンス費用から、より戦略的なAIコンサルティング、AIシステムの設計・開発、そしてAIを組み込んだ高付加価値なITサービスへとシフトすると考えられます。AIを武器に顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援できるSIerは、新たな収益源を確保し、むしろ資金流入が増加するメカニズムが働くでしょう。具体的には、日立がLumada事業で生成AIのケイパビリティを取り込み、大規模SIやDX案件で生成AIを活用し、30%以上の生産性向上を実現している事例、富士通がAI-Driven Software Development Platformによりシステム開発の全工程自動化を目指し、従来の開発期間を大幅に短縮した事例、NECがAIコンサルティングサービスを提供し、AI戦略立案を支援する事例などがあり、これらはSIerが「SaaSの死」を乗り越え、新たな価値を創出する方向性を示唆しています。
銘柄の分析
日本電気(6701)
事業内容
NECは、社会公共、社会基盤、エンタープライズ、ネットワークサービス、グローバル、デジタルサービス、およびその他事業を展開する総合電機メーカーです。ITサービス事業を中核に、通信インフラや防衛・航空宇宙(ANS)なども手掛けています。AI技術を活用したDXソリューション「NEC Digital Platform」を提供し、社会課題解決型のビジネスを推進しています.
業績への影響
AIの台頭による「SaaSの死」は、NECの従来のSaaS型アプリケーション販売の一部に影響を与える可能性はありますが、同社のITサービス事業全体の業績は堅調に推移しています。2026年3月期第3四半期決算では、売上収益が前年同期比4.3%増、営業利益は同46.8%増と大幅な増益を達成しており、特に国内ITサービスが好調を牽引しています。NECは生成AI関連の研究開発に積極的に投資し、自社LLM「cotomi」を開発、AIを活用したシステム開発のモダナイゼーションやコンサルティングサービスを強化しており、これによりAI導入支援やDX案件の増加が見込まれます。SaaS型ERP「建設クラウド」の導入事例もあり、SaaSを活用したソリューション提供も続けています。
株価への影響
市場では「SaaSの死」という懸念から、一時的にSaaS関連銘柄と共にSIerも売られる動きが見られましたが、NECのファンダメンタルズは好調を維持しており、この売りは過剰反応である可能性が高いです。株価はAI関連技術への積極投資や、社会インフラ、防衛といったAIと直接関連しない堅調な事業セグメント(ANS事業など)に支えられています。為替動向や半導体市場の状況、地政学リスクなども株価の主要なドライバーとなります。
リスク(反証)
AI駆動開発の進展が予想以上に早く、従来のSIサービスの単価下落圧力が強まる場合、一時的に収益性が悪化する可能性があります。また、自社SaaS製品がAIネイティブソリューションとの競争で劣勢に立たされた場合、その影響も考慮する必要があります。
総合評価
総合評価:7/10段階評価
AIの台頭はNECにとって、従来の「人月商売」からの脱却と高付加価値化を加速させる機会であり、生成AIを活用したコンサルティングやシステム開発の需要を取り込むことで、今後の成長ドライバーとなり得ます。直近の業績も好調であり、AI関連のネガティブな市場センチメントは過剰な売りであると判断します。

「SaaSの死」という言葉が巷を賑わせていますが、「AIがNECを『不滅の御用聞き』に変える」と見ています。
普通、AIで効率化すれば単価が下がることを危惧しますよね。でも、複雑すぎる防衛や社会インフラを、AIを使ってブラックボックス化させずに保守できるのは、現場を知り尽くしたNECだけだと考えます。
効率化で浮いたリソースを、AIには真似できない「泥臭い現場調整」に全振りできる。これこそが最強の参入障壁になるはず。スマートなIT企業が敬遠する領域にAIを活用して乗り込む姿こそ、同社の勝ち筋ではないでしょうか。
富士通(6702)
事業内容
富士通は、ITサービスを主軸に、コンサルティングからシステム構築、運用・保守まで一貫したサービスを提供しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する「Fujitsu Uvance」を中心に、AIを活用したソリューション開発に注力しています.
業績への影響
富士通も「SaaSの死」論の影響で一時的に市場の懸念を集めましたが、2026年3月期第3四半期決算では、売上収益が前年同期比1.8%増、営業利益が同99.4%増と大幅な増益を達成しており、特にサービスソリューション事業が好調です。同社は大規模言語モデル「Takane」を独自開発し、AI-Driven Software Development Platformによりシステム開発の全工程自動化を目指すなど、AI技術を積極的に自社事業に取り入れています。これにより、顧客のDX支援における競争力強化と、自社開発プロセスの効率化を進めています。SaaS型AIサービスの導入事例も複数あり、AIを活用したSaaS提供も強化しています.
株価への影響
NECと同様に、市場の「SaaSの死」による売りは、富士通の堅調なファンダメンタルズを考慮すると行き過ぎた反応と評価できます。AI技術への積極投資による将来的な成長期待に加え、公共分野や金融分野など、ミッションクリティカルな大規模SI案件の継続的な需要に支えられています。海外市場での為替変動影響も売上収益に影響を与えることがあります。
リスク(反証)
生成AI技術の進化スピードが速すぎる場合、自社開発のAIモデルやプラットフォームへの投資が追いつかず、技術的優位性を失うリスクがあります。また、既存のSaaSパートナーとの関係性や、SaaSからの収益構造転換が遅れると、利益率に影響が出る可能性もあります。
総合評価
総合評価:8/10段階評価
富士通はAI技術を自社のITサービスの中核に据え、システム開発の自動化やDX支援を強化することで、「SaaSの死」論が示唆する変化を成長機会と捉えています。好調な業績と戦略的なAI投資は、短期的な市場の懸念を払拭し、株価の回復を牽引する可能性が高いと評価します。

富士通の強みは「泥臭い公共・金融のルール」を熟知していること。AIが作ったコードの「なぜこうなったか」を、日本の商習慣に照らして説明できるのは大きな強みです。
「AIが書く、でも責任は富士通が持つ」という安心感こそが、SaaSには真似できない最強のサブスク商品になると考えます。単なるIT屋から、AI時代の「信頼の保証人」へ。この転換に気づけば、今の売りは絶好の仕込み時かもしれませんね。
日立製作所(6501)
事業内容
日立製作所は、デジタルシステム&サービス(DSS)、グリーンエナジー&モビリティ(GEM)、コネクティブインダストリーズ(CI)の3セクターを主軸にグローバルに事業を展開する総合電機・IT企業です。特に、DXを推進するデジタルソリューション「Lumada(ルマーダ)」を核として、AI、OT(Operational Technology)、プロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業を強化しています.
業績への影響
日立製作所もAIの台頭による「SaaSの死」の懸念から一時的に売られる局面がありましたが、2026年3月期第3四半期決算では売上収益が前年同期比7.0%増、調整後営業利益が同26.1%増と増収増益を達成しています。Lumada事業は好調に推移し、AIや生成AIの活用により、ITサービス分野での生産性向上や顧客業務効率化で成果を上げています。特に、Microsoftとの戦略的提携によりAzure OpenAI ServiceなどをLumadaソリューションに組み込み、SaaS版の統合システム運用管理「JP1 Cloud Services」に生成AIを活用するなど、AIによる既存SaaSの価値向上にも取り組んでいます。
株価への影響
日立製作所の株価は、AIを基盤としたLumada事業の成長戦略と、再生可能エネルギー関連などのグリーンエナジー&モビリティ事業の堅調さに支えられています。市場の「SaaSの死」懸念は一時的なものであり、日立の多角的な事業ポートフォリオと、AIを積極的に取り込んだDX推進戦略は、株価にとってポジティブなドライバーとなります。グローバルビジネス展開における為替変動や世界経済の動向も重要な影響要因です。
リスク(反証)
Lumada事業におけるAIソリューションの競争が激化し、想定通りの収益性を確保できない場合、業績に下押し圧力がかかる可能性があります。また、大規模なDX案件におけるプロジェクト管理リスクや、グローバル展開における地政学リスクなども考慮すべきです。
総合評価
総合評価:10段階評価7
日立製作所は、AIを「Lumada」の中核技術として位置づけ、社会イノベーション事業を通じて、従来のSaaSモデルの進化と新たな価値創造を推進しています。強力な事業基盤と戦略的なAI投資は、市場の懸念を上回る成長期待を生み出すと評価します。

日立は、鉄道や電力網といった「動かすのが重いリアルな現場」にAIを流し込みました。これにより、物理的なインフラとデジタルが剥がせない状態になっています。
SaaSが死ぬと言われるのは「替えが効く」からです。でも、AIと一体化した日立のインフラは、もはや他社に入れ替えることが不可能な「究極の囲い込み」です。このの独占力こそ、同社の強力なビジネスモデルかもしれません。
総括
AIの台頭による「SaaSの死」が議論される中、大手SIerは単なる受け身ではなく、AIを活用した高付加価値サービスへの転換を進めています。この動きは、日本のITサービス市場において、従来の「人月」ビジネスモデルからの脱却を加速させ、技術力と提案力のある企業に資金が集中する傾向を強めるでしょう。
次は関連銘柄分析AIで個別銘柄を詳しく調べたり、
買いポイント診断AIで具体的な投資タイミングを分析してみましょう。
【免責事項】※本情報はAIによる分析であり、特定の銘柄の推奨や投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。



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